2015年12月31日木曜日

2015年に劇場で観た映画

 毎年恒例のリストだよ。時間や懐のぐあいにより、2014年の189本からするとだいぶ少ない計166本。いつものように、できるかぎりYouTubeまたはDailymotionの予告編リンクつきで挙げていこう。近日中に投稿するお気にいり映画年間チャートの候補作一覧でもあるよ。



☆1月(7本)
96時間 レクイエム @TOHOシネマズ渋谷
シン・シティ 復讐の女神 3D @新宿ピカデリー
薄氷の殺人 @新宿武蔵野館
ビッグ・アイズ @TOHOシネマズ渋谷
ネイバーズ @ユナイテッド・シネマ豊洲
出発 @早稲田松竹
バリエラ @早稲田松竹


☆2月(15本)
WILD CARD/ワイルドカード @新宿バルト9
セントラル・パーク @シネマヴェーラ渋谷
DVー ドメスティック・バイオレンス @シネマヴェーラ渋谷
ボクシング・ジム @シネマヴェーラ渋谷
ストア @シネマヴェーラ渋谷
病院 @シネマヴェーラ渋谷
チチカット・フォーリーズ @シネマヴェーラ渋谷
さらば、愛の言葉よ(3D上映) @シネスイッチ銀座
ハニートラップ 大統領になり損ねた男 @ヒューマントラストシネマ渋谷
FEAR X ~フィアー・エックス @ヒューマントラストシネマ渋谷
ニック・ケイヴ/20,000デイズ・オン・アース @新宿シネマカリテ
はじまりのうた @渋谷シネクイント
フォックスキャッチャー @渋谷シネマライズ
ブルー・リベンジ @ヒューマントラストシネマ渋谷
アメリカン・スナイパー @TOHOシネマズ渋谷


☆3月(14本)
プリデスティネーション @新宿バルト9
君が生きた証 @新宿シネマカリテ
マッド・ナース @ヒューマントラストシネマ渋谷
シェフ ~三ツ星フードトラック始めました~ @TOHOシネマズ日本橋
嗤う分身 @下高井戸シネマ
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 @TOHOシネマズ渋谷
アナベル 死霊館の人形 @新宿ピカデリー
恐怖分子 デジタル・リマスター版 @シアター・イメージフォーラム
正しく生きる @シアター・イメージフォーラム
博士と彼女のセオリー @新宿シネマカリテ
光陰的故事 @シアター・イメージフォーラム
クラウン @ヒューマントラストシネマ渋谷
博士の異常な愛情 @新文芸坐
時計じかけのオレンジ @新文芸坐


☆4月(21本)
バリー・リンドン @新文芸坐
ワイルド・スタイル @渋谷シネマライズ
フルメタル・ジャケット @新文芸坐
アイズ ワイド シャット @新文芸坐
傷だらけのふたり @シネマート新宿
パレードへようこそ @シネスイッチ銀座
百円の恋 @下高井戸シネマ
やさしい女 @新宿武蔵野館
ラブバトル @渋谷ユーロスペース
レイシストカウンター @渋谷アップリンク
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
マジック・イン・ムーンライト @新宿ピカデリー
JIMI:栄光への軌跡 @ヒューマントラストシネマ渋谷
インヒアレント・ヴァイス @ヒューマントラストシネマ渋谷
皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と影 @シアター・イメージフォーラム
ギリシャに消えた嘘 @ヒューマントラストシネマ有楽町
グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ @角川シネマ新宿
デュラン・デュラン:アンステージド @TOHOシネマズ新宿
ワイルド・スピード SKY MISSION @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
龍三と七人の子分たち @渋谷シネパレス
セッション @TOHOシネマズ六本木ヒルズ


☆5月(18本)
チャイナタウン @早稲田松竹
毛皮のヴィーナス @早稲田松竹
インヒアレント・ヴァイス(2回め) @ヒューマントラストシネマ渋谷
イマジン @シアター・イメージフォーラム
私の少女 @ユーロスペース
フォーカス @シネ・リーブル池袋
ブラックハット @池袋HUMAXシネマズ
22ジャンプストリート @新宿シネマカリテ
Looking For Johnny ジョニー・サンダースの軌跡 @新宿シネマカリテ
ザ・トライブ @新宿シネマカリテ
ションベンライダー @シネマヴェーラ渋谷
翔んだカップル オリジナル版 @シネマヴェーラ渋谷
ラン・オールナイト @ヒューマントラストシネマ渋谷
ゼロの未来 @恵比寿ガーデンシネマ
チャッピー @新宿ピカデリー
SLY STONE スライ・ストーン @新宿K's Cinema
戦場のメリークリスマス @シアター・イメージフォーラム
ジェームス・ブラウン~最高の魂〈ソウル〉を持つ男 @角川シネマ有楽町


☆6月(11本)
お引越し @シネマヴェーラ渋谷
夏の庭 @シネマヴェーラ渋谷
誘拐の掟 @新宿バルト9
トゥモローランド @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
ヴェロニカ・フォスのあこがれ @アテネ・フランセ文化センター
リオ・ダス・モルテス @アテネ・フランセ文化センター
ホワイティ @アテネ・フランセ文化センター
ニクラスハウゼンの旅  @アテネ・フランセ文化センター
アメリカの兵隊 @アテネ・フランセ文化センター
マッドマックス 怒りのデス・ロード 3D @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
Mommy マミー @恵比寿ガーデンシネマ


☆7月(14本)
マッドマックス 怒りのデス・ロード(2回め) @TOHOシネマズ渋谷
オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 @恵比寿ガーデンシネマ
コングレス未来学会議 @新宿シネマカリテ
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
神々のたそがれ @下高井戸シネマ
悪党に粛清を @新宿武蔵野館
ターミネーター:新起動/ジェニシス 3D @新宿ピカデリー
フットルース @シネマート新宿
奇跡の2000マイル @有楽町スバル座
フレンチアルプスで起きたこと @ヒューマントラストシネマ有楽町
南の島のラブソング @TOHOシネマズ新宿
インサイド・ヘッド @TOHOシネマズ新宿
奪還者 @ヒューマントラストシネマ渋谷
恋人たちの予感 @シネマート新宿


☆8月(12本)
ラブ&マーシー 終わらないメロディー @ヒューマントラストシネマ渋谷
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN @新宿ピカデリー
コンフェッション 友の告白 @シネマート新宿
ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール @新宿シネマカリテ
ジュラシック・ワールド @TOHOシネマズ渋谷
怒りを力にーACT UPの歴史 @高円寺パンディット
ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション @TOHOシネマズ渋谷
駆込み女と駆出し男 @下高井戸シネマ
南の島のラブソング 日本語吹替版(2回め) @新宿ピカデリー
インサイド・ヘッド 日本語吹替版(2回め) @新宿ピカデリー
野火 @渋谷ユーロスペース
ナイトクローラー @ヒューマントラストシネマ渋谷


☆9月(13本)
イタリアは呼んでいる @下高井戸シネマ
EDEN/エデン @新宿シネマカリテ
懲罰大陸★USA @新宿シネマカリテ
ヴィンセントが教えてくれたこと @渋谷シネパレス
キングスマン @TOHOシネマズ渋谷
酔いどれ博士 @ラピュタ阿佐ヶ谷
ピエロがお前を嘲笑う @新宿武蔵野館
ピクセル @新宿ピカデリー
アントマン @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
サム・ペキンパー 情熱と美学 @シアター・イメージフォーラム
ワイルドバンチ @シアター・イメージフォーラム
海街diary @下高井戸シネマ
靴職人と魔法のミシン @下高井戸シネマ


☆10月(15本)
アメリカン・ドリーマー 理想の代償 @TOHOシネマズシャンテ
ドローン・オブ・ウォー @TOHOシネマズ新宿
20世紀最後の巨匠 オスカー・ニーマイヤー @東京都現代美術館
ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男 @恵比寿ガーデンシネマ
ファンタスティック・フォー @TOHOシネマズ日劇
シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人 @ヒューマントラストシネマ有楽町
顔のないヒトラーたち @ヒューマントラストシネマ有楽町
グローリー/明日への行進 @下高井戸シネマ
 @下高井戸シネマ
エレファント・ソング @下高井戸シネマ
ヴィヴィアン・マイヤーを探して @シアター・イメージフォーラム
名もなき塀の中の王 @新宿K's Cinema
ジョン・ウィック @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
ヴィジット @TOHOシネマズ新宿
チャイルド44 森に消えた子供たち @下高井戸シネマ


☆11月(13本)
海賊じいちゃんの贈りもの @角川シネマ新宿
ファスビンダー @ドイツ文化会館ホール
ヴィクトリア @ドイツ文化会館ホール
午後3時の女たち @ヒューマントラストシネマ渋谷
エベレスト3D(IMAX3D) @TOHOシネマズ新宿
人生スイッチ @下高井戸シネマ
コードネーム U.N.C.L.E. @ヒューマントラストシネマ渋谷
タフガイは踊らない @シネマート新宿
バーフライ @シネマート新宿
グローイング・アップ @シネマート新宿
キャノンフィルムズ爆走風雲録 @シネマート新宿
氷の花火 山口小夜子 @シアター・イメージフォーラム
スペースバンパイア @シネマート新宿


☆12月(13本)
007 スペクター @新宿ピカデリー
美術館を手玉にとった男 @渋谷ユーロスペース
みんなのための資本論 @渋谷ユーロスペース
ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ) @ヒューマントラストシネマ渋谷
グリーン・インフェルノ @新宿武蔵野館
デッドロック @上智大学四谷キャンパス図書館821
メニルモンタン 2つの秋と3つの冬 @シアター・イメージフォーラム
スター・ウォーズ フォースの覚醒(IMAX3D) @TOHOシネマズ新宿
ディーン、君がいた瞬間(とき) @シネスイッチ銀座
マイ・ファニー・レディ @ヒューマントラストシネマ有楽町
フランク・ザッパ&ザ・マザーズ/ロキシー・ザ・ムーヴィー(爆音上映) @渋谷クラブクアトロ
ストレイト・アウタ・コンプトン @渋谷シネクイント
クリード チャンプを継ぐ男 @TOHOシネマズ新宿

2015年11月16日月曜日

お気にいりの映画10本


 いわゆる、フェイヴァリット・フィルムズ・オヴ・オール・タイム。

ゾンビ Dawn Of The Dead(1978年)



ブギーナイツ Boogie Nights(1997年)



ライフ・アクアティック The Life Aquatic With Steve Zissou(2004年)



ロング・グッドバイ The Long Goodbye(1973年)



アニー・ホール Annie Hall(1977年)



断絶 Two-Lane Blacktop(1971年)



ジャッキー・ブラウン Jackie Brown(1997年)



冒険者たち Les Aventuriers(1967年)



マイノリティ・リポート Minority Report(2002年)



プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角 Pretty In Pink(1986年)


 ざっとこんな感じかな。

2015年10月10日土曜日

Coney Island Man

 2年半ほど前の記事 "You On My Mind" のつづき。ブラジルのスウィング・アウト・シスター・ファンであるベッキーの投稿動画に……



(尺は短いながらも)アンディ・コーネルがふたたび自ら伴奏を加えて粋に返答。いいね。



2015年2月26日木曜日

188cm

 ブライアン・ウィルスン伝記映画 "Love & Mercy" の予告編が公開されたねえ。

 

 すでにトロントやベルリンの国際映画祭でお披露目されているそうだが、通常の封切りは本国で6月5日とのこと。ビル・ポーラッド監督の名前は初耳だなあと思ったら、主に製作者として活動する映画人で、これまでに『ブロークバック・マウンテン』や『イントゥ・ザ・ワイルド』、『それでも夜は明ける』などを当てたようだ。監督としては1990年に老人コンビの探検コメディらしき "Old Explorers" を1本撮ったきりだから、そのお手並みはいかに。ロットゥン・トメイトズでざっと評を読んだかぎり、なかなか期待できそうではあるよ。

 ところでまっさきに気になったのが、188cm以上(6'2")も背丈があるブライアンの青年期を演ずるポール・ダノの身長ね。ひょろっとしていてあまりのっぽの印象がなかったけれど、調べたら意外や186cm(6'1")はあるようでひと安心。中年期以降を演ずるジョン・キューザックも188cm(6'2")とばっちりだ。そりゃまあ配役時の必要条件だとは思うけどさ。「なるほどユージン・ランディ博士役はジアマッティで、ヴァン・ダイク・パークスはこの若者かあ」なんて、IMDbのキャスト一覧を眺めるのもご一興。もうじきリリースされるブライアンの新作 "No Pier Pressure" も楽しみだ。

2015年2月5日木曜日

2014年の落穂ひろい

 2015年もあっという間にひと月が過ぎ、イカした最新リリースがぼちぼち目についてうれしいかぎり。とはいえ、昨年のうちに入手できなかった2014年作品もまだまだいっぱいだ。本来ならば "BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30" に入ってしかるべきだった優秀作もあるが、ジャケ裏に2014と記されているものを2015年ぶんにくり越すのは、どうにも気がすすまない。そこで年間チャート有力候補からこぼれ落ちてしまったお気にいり2014年産を、このタイミングで6タイトル(うち1タイトルは再発部門)ほどひろっておくよ。


FUNKADELIC / First Ya Gotta Shake The Gate (3CD)

 去年のうちに聴いていたならまちがいなくトップ30入りした鬼凄3枚組。とにかくどろどろぬめぬめと妖しく怪しく底知れぬファンク沼が、依然としてそこに鎮座ましましていることに感謝。しかも33曲もの大ヴォリュームをまるで飽きさせぬ驚異の現役感……というか時代超越感。スライじいさんからラップ/R&B畑のヤング世代、サンプリングで故エディ・ヘイズルまで動員した、汲めども尽きぬアイディアの宝庫なのだ。なかなかいっきに3時間27分とはいかないから、目下のんびり1枚ずつ浸っているところ。メロウ寄りのディスク1は意外や入眠時BGMにもぐあいよし。
 よくよく考えてみれば、ファンカデリックのスタジオ・アルバムを新譜として買ったのはこれが初。"By Way Of The Drum"(1989年) のときは先行シングルが出たっきりいったんお蔵入りでがっかりしたもの。プライマル・スクリームのボビーが参加した "Dope Dogs"(1996年)なんかもあったけど、あれはライヴ盤だし。ジョージ・クリントンの御大には、ぜひともこのつづきを聴かせてもらいたい。




HOMESHAKE / In The Shower (LP)

 去年のトップ30にはライラック&シャンペインの12インチ "MIdnight Features Vol.1: Shower Scene" を選んだけど、ここにも 'The Shower Scene' という曲が入っているもんね。深夜に熱いシャワーを浴びながら聴きたい脱力ゆるソウルなのよ、これがまた。どうやらマック・デマルコ人脈という、モントリオール青年ピーター・サーガー主導のプロジェクトのアルバム第2作。ぜんたいにザ・ステップキッズの曲をダブ・ナルコティック・サウンド・システムがカヴァーしたってな趣。一聴つたないようでいてじつはジャズ・ドラムの素養ありという、いい湯かげんなふにゃふにゃグルーヴがくせになるゾ。




JERRY PAPER / Big Pop For Chameleon World (LP)

 おそらく一部のナウいヤングに人気なのだろう。去る1月、前述のホームシェイクらといっしょに来日公演を行なったブルックリンの眼鏡小僧ジェリー・ペイパー。じつは春先にバンドキャンプで聴いた前作 "Feels Emotions" はとくにひっかからなかったから、こっちも素どおりしていたんだな。ところがどっこい、つかっている音色の質感のちがいでぐっときちゃった。どことなく¥EN・レコーズなオリエンタル風情ありの牧歌的AOR秀作なのさ。




SELAH SUE / Alone (CDEP)

 デビュー時はぴんとこなかったベルギーのセラ嬢。このディスコ路線はかなりよいじゃんと思ったら、なるほどロビン・ハニバルライクアドロン)がプロデューサーだもん。大手チェーン店フナック限定で出た10インチ・アナログ盤とのセットは即日完売とのことで、ときすでに遅し……。転売業者のプレミア価格に手が届くはずもなく、タワーレコード渋谷店4階の棚にかろうじて1枚あったCDEPをリピート中さ。ビコーズ・ミュージック発だから、3月リリース予定のアルバムはアナログ盤で手に入るかな。なんとなくだけど、ヴィデオの姿に『アメリカン・ハッスル』のジェニファー・ローレンスを連想したりして。




TOPE / Broke Boy Syndrome (CD)

 去年の時点でMP3は聴いていたけれど、バンドキャンプ経由で注文したCD版が届いたのは今年に入ってからでさ。リヴィング・プルーフなるラップ・デュオのことは知らぬまま、bmrのサイト内ホットスポットの記事で見つけた片われの初ソロ・アルバム。深く沈みこまず、かといって浮かれてもいない、ほどよくAOR心が混入されたぜんたい的ムードがなんとも馴染む。軽みあるとっぽさがよいね。トップ30入りしたDJ・クイック "The Midnight Life" と双璧をなす、2014年産ラップ 皿なのだ。




JORDAN DE LA SIERRA / Gymnosphere: Song Of The Rose (2CD)

 最後に“再発盤&発掘音源盤”部門を1タイトル。"BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10 - Reissue and Unreleased" に2作も選んだヌメロ・グループ発だというのに、うっかり見逃していたのだから情けなや……。抹香くさそな先入観で敬遠しがちなニュー・エイジ・ミュージックの古典にも、たまんないお皿が潜んでいるんだなぁ。なんともリリカルなピアノの響きに心がほぐれる、1977年サンフランシスコ産。収録の4曲それぞれが20分以上におよぶ、ミニマルかつアンビエントな超快適静謐浮遊音楽集なのだ。たまたまYouTubeで発見した浜辺の映像にBGMとして重ねた動画があまりに心地よく、いてもたってもいられずタワーレコードのニュー・エイジ売場に走ったしだい。季節や時間帯を問わぬスグレものなれど、うだる真夏の室内に響かせたならこれまた格別にちがいなし。




2015年1月10日土曜日

BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10 - Reissue and Unreleased

 2014年の年間チャートしめくくりは、汲めどもうれしい新発見は尽きぬ、お気にいり“再発盤&発掘音源盤”のトップ10だよ。

 新作音盤編↓
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 1
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 2  
 映画編↓
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10+5 - Films


☆第1位
TRACIE YOUNG / No Smoke Without Fire (CD)

 平均すると10日にいっぺんぐらいは、タワーレコード渋谷店の7階からエスカレイターで下りながら、試聴機を順々に巡るんだけどさ。とくに新しい再発CDの情報源として重要なんだな。後期レスポンド~ポリドール期(1985~86年)のシングル曲を含むトレイシーの未発表セカンド・アルバムも、梅雨どきに5階で見つけたっけ。もし当時に出ていたら彼女のキャリアはちがっていた……というたぐいではないかもしれないが、80年代中期ブルー・アイド・ソウルの柑橘系な瑞々しさが真空パックされて最高。溌剌としているんだよね。初アルバム "Far From The Hurting Kind"(1984年)がザ・スタイル・カウンシル "Introducing"(1983年)的とすれば、こちらはシングル版の 'The Lodgers'(1985年)あたりに近い質感かな。ブライアン・ロブスンや元ザ・クエスチョンズのポール・バリーが、ソリッド・ボンドな流儀を貫いているゾ。




☆第2位
NED DOHENY / Separate Oceans (2LP)

 例年どおり、ヌメロ・グループは強し。しかしこのパッケージ・デザイン、『アドリブ』誌的イメージのAOR 観とは隔世の感があるね。見開き内側のどーんとした迫力。ブックレットの写真群もすばらしい。もちろん未発表セッションやデモ音源は問答無用。通しで味わうアルバムとしての構成も完璧。"Hard Candy"(1976年)のLPが中古盤屋の投げ売り箱にざくざくあったころが、なんだか懐かしい(笑)。
 またビッグ・イン・ジャパンな人気にちなんだという、AWB伴奏版の 'What Cha' Gonna Do For Me' デモ入り先行限定7インチもうれしかった。変てこな日本語表記ジャケに、なんとなくハワード・ジョーンズ 'Like To Get To Know You Well'(1984年)を連想したりしてさ。




☆第3位
大滝詠一 / Each Time 30th Anniversary Edition (2CD)

 なんといっても「魔法の瞳(オリジナル・カラオケ)」でしょ。高校1年のLP発売時からずっと、きらめき&ひらめき満載の音じかけを歌なしで聴いてみたくてさ。30年来の願いがかなったよ。ヘッドフォンをかけ目を閉じたなら、ディズニー的トリップ感覚がふくらむふくらむ!……胸が苦しくなるほどの夢見心地だ。
 そういや、白夜書房から凄そうな『大瀧詠一 Writing & Talking』が出るね。3月20日は街の書店に走らねば。




 ここからはアルファベット順だよ。

ARAGON / Aragon (CD)

 比類なき陶然の和製バレアリック皿。ぼやぼやしていたら、急騰する中古LPに手が届かなくなっちゃってさ。海外レーベルが再発してもおかしくないと思ったところに、連動企画盤 "The Studio Works - Birth Of Aragon"(1985年)からのボーナス・トラックつきで、ようやく国内再CD化。東北新幹線 "Thru Traffic" に、テレサ野田「トロピカル・ラブ」……同じく中古市場で値が釣りあがっていた国内もののアナログ復刻もうれしかった。




BEDHEAD / 1992-1998 (4CD)

 ふたたびヌメロ・グループのすぐれたお仕事。うかつにも活動当時は素どおりしていた、テキサス州ダラス出身5人組のスタジオ音源を網羅するCD4枚箱だ。2012年の当部門第3位だったコーディーン "When I See The Sun" 大箱の流れで、ヌメロのインディ審美眼は信頼しているから、どうにも気になっちゃってさ。よくスロウコアにカテゴライズされるけれど、まっすぐ入ってくるこの淀みのない印象はいったい……。文字型押しの外箱および各アルバムのパッケージ同様、非凡なほどに飾りけがなく、妙に心惹かれるんだよねえ。寝ぐせ頭というバンド名が、じつに似つかわしい。




JAVIER BERGIA / Eclipse (LP)

 1988年盤 "La Alegria Del Coyote" のジャケットは、かつてどこかで見かけた記憶があるんだよねえ……。いずれにせよ初耳となるスペイン発30年選手SSWの名演集。アコースティックかつパーカッシヴなアンビエント指向で、不思議時空を現出する10曲入りだ。ウーやドゥンクルツィファー、エンジェル・コーパス・クリスティまで再発するロンドンの変わり種レーベル、エモーショナル・レスキューより。地中海性AORとしても聴けるヴォーカル曲をさらに堪能すべく、中古のオリジナル・アルバムもぜひ入手したいところ。




JOAN BIBILONI / El Sur (LP)

 ミュージック・フロム・メモリーなるアムステルダムの新レーベルもまた注目の的。夢幻的かつ叙情的な知られざる音源に狙いをすまし、端正なアートワークでリリースを重ねる。こちらも上述のハビエル・ベルギアと肩を並べるスペイン産。アンビエントもディスコも噛みわけ横断するギターの名手、ホアン・ビビローニの選りすぐり編集盤(10曲入り)なのさ。遅ればせながら手に入れた同レーベルの第1弾、リオン・ロウマン "Liquid Diamonds"(2013年)と併せて、いまやすっかりくつろぎの定番だ。




SHINY TWO SHINY / When The Rain Stops (LP)

 大好きなアンテナウィークエンドと比べるとこのリバプール産デュオはちょっと垢ぬけない気がして、'Waiting For Us'(1983年)の12インチもずいぶん昔に売っちゃったんだ。ところがいまとなっては、さほど落差を感じない……というか、むしろ新鮮。そんな誤解にコンピレイション盤で気づかせてくれた、ブルックリンのキャプチャード・トラックスに感謝。ちょっと調べてみたら、片われのロビンはのちに元ザ・ルームのメンバーとベニー・プロフェインを組んだって!?(笑)……と、B級な歩みに感心しつつ、アンテナ版にもけっして劣らぬ「イパネマの娘」カヴァーに、耳の穴をかっぽじっている今日このごろさ。




WOO / When The Past Arrives (LP)

 ナイト・ジュエルとのカップリング・7インチ(2012年)で1曲聴いたときは、これまたうっかり素どおりしちゃった、ロンドン発兄弟バンドのウー。埋もれた4トラック宅録テープ(1976年〜)に光を当てた14曲に耳を傾ければ、すっかり時と場所を見失いそうになる。その感覚は、たゆたう水面を眺めるがごとし。スノッブとは無縁の風雅な情趣に、ひたすら心洗われる思いなのだ。




VARIOUS ARTISTS / Science Fiction Park Bundesrepublik - German Home Recording Tape Music Of The 1980s (2LP)

 これ以上の適任者は思いつかない好企画でしょ。ちょいとばかし遅れてきたノイエ・ドイチェ・ヴェレの申し子フェリックス・クービンが、有名無名を問わぬ80年代地下シーンの宅録音源を、ここぞとばかりに25曲選りぬいた2枚組。だし惜しみも中だるみもいっさいなしの、おそるべき充実度だ。ピロレイターにホルガー・ヒラー、アンディ・ジョルビーノ、はたまたリエゾン・ダンジェルーズの前身CHBBといったおなじみの面々ばかりじゃない、謎めいた怪人たちによる小気味よくねじくれた初期衝動の記録。英語とドイツ語で各面印刷の見開きライナーノーツも文句なし。はみだし名門ファインダーズ・キーバーズ傘下のキャッシュ・キャッシュがやってくれたよ。
 NDWといえば、必携本『クラウトロック大全』を著した小柳カヲル氏のスエザン・スタジオ謹製アタ・タック箱も、第5集 "The Single Collection" にて完結。応募券を集めて当たる初CD化のデア・プラン "Das Fleisch"(1979年のデビュー・シングル)とともに、シリーズに有終の美を飾ったゾ。





2015年1月6日火曜日

Lil' Bit Of Gold


 昨秋に『ジャージー・ボーイズ』を観た帰り道、3インチのCDシングルのことをあれこれと考えた。というのも、ザ・フォー・シーズンズに親しむようになったきっかけが、1988年にライノ・レコーズから発売された4曲入りの3インチ盤だったからだ。


 念願のCDラジカセ(ソニーのドデカホーン)を手に入れたのは、大学生になりたての1987年。主に長時間の編集盤や旧譜の再発盤をCDで購入し、これまでどおりアナログ盤で集める新録音源との差別化をはかっていた。ちなみに初めて買った通常サイズ(5インチ)のCDは、ヘヴン・17のコンピレイション "Endless"(1986年)。放課後によく通った、渋谷の輸入盤屋シスコのCD専門店(のちにテクノ店になる場所)で見つけたものだ。あくまで新譜レコードを中心にしつつも、そこに連なる旧作の探究心も抑えがたい10代の終わり、タイトル数急増中の輸入再発CDは、かっこうの道しるべになった。

そんなある日、いつものようにシスコのCD 店に立ち寄ると、細い短冊状の台紙と紙ジャケつきで包装された、見たこともない小型のCDが……。ライノじゃなくてライコディスクから出たフランク・ザッパの'Peaches En Regalia'だった。もの珍しさは当然として、膨大な選択肢のザッパ音源に初接近するチャンスと即購入。3曲いずれも最高(とくに 'Lucille Has Messed My Mind Up' がお気にいり)で、すぐさまザ・マザーズ・オヴ・インヴェンション "Freak Out!" もCDで入手した。

 それからほどなくしてライノから売り出されたのが、バンド別のオールディーズ名曲EPシリーズ "Lil' Bit Of Gold" だ。その名のとおり、各組を代表する4曲(ちょびっと)入りで、蒸着膜にアルミではなく金をつかったゴールドCD仕様。1988年から1989年にかけて全60種が発売された。くわしいディスコグラフィは、ロンドンの有名中古盤専門レックレス・レコーズの元店員、マーク・バリー氏のブログ記事(2009年5月1日)をご参照のほど。つまりザ・フォー・シーズンズとの出会いは、お手ごろ価格の入門編 "Lil' Bit Of Gold" の1枚だったわけ。'Sherry' ぐらいは往年のヒット・パレイドの一部として知っていたし、姉がサントラ盤を持っていた『グリース』の主題歌も耳にしたとはいえ、まともに向き合ったのはこれが初。すぐ夢中になり、毎日何度もくりかえした。'Working My Way Back To You' がとくに好きだったな。




 当然4曲だけじゃ飽きたらず、デビュー25周年で同じくライノから出た、フランキー・ヴァリのソロ音源も含む3枚組/全52曲のベストCD "25th Anniversary Collection" にアップグレイド(青山骨董通りのパイド・パイパー・ハウスにて)。'Bye Bye Baby' はベイ・シティ・ローラーズ'Can't Take My Eyes Off You' はボーイズ・タウン・ギャングの曲だとばかり思っていたから、彼らがオリジナルと知って驚いたよ(笑)。



 けっきょくその後、曲が重複する3インチCDは手放してしまい、3枚組のほうも中古盤屋で見つけた同内容の4枚組LPボックスに買い替えた。ひさしぶりに蒐集箱を漁ってみると、いま手元に残っている "Lil' Bit Of Gold" は、ザ・コーデッツ、ザ・フリートウッズ、ジャン&ディーンの3枚のみ。他の数枚は気まぐれで売ってしまったようだ。

 スロット式挿入口のプレイヤー/光学ドライヴの普及により、あっという間に引退に追いこまれた、懐かしの3インチCD。およそ20分という容量をとっても、20世紀のシングル盤として理にかなう可愛いやつだった。もし "Lil' Bit Of Gold" に出会っていなければ、2014年お気に入り映画の第1位に『ジャージー・ボーイズ』を選ばなかったかもしれない。それにしても、現在も5曲入りの廉価配信EPシリーズ "Rhino Hi-Five" を定番にしているライノの姿勢には、一貫性があるね。



BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10+5 - Films

 さてと、2014年のお気にいり映画の年間チャートだよ。1月2日のブログ記事『2014年に劇場で観た映画』に挙げた全作品より、新作映画のトップ10と旧作映画再上映/初上映のトップ5。まずは“新作映画”のほうからどうぞ。 


☆第1位
ジャージー・ボーイズ

 見事な音楽映画だった。むだなくテンポよく、それでいてなめらかな展開のなかで、うっとり酔わせて、きっちり笑わせ、じんわり泣かせてもくれる……とにかく手堅い。クリント・イーストウッド監督が職人気質といわれるゆえんだね(これまたがらりと変わる最新作『アメリカン・スナイパー』も楽しみ)。また、かれこれ四半世紀ほど前に、ザ・フォー・シーズンズの音楽を知っておいてよかったなとも思う(ブログ記事 "Lil' Bit Of Gold" をご参照のほど)。胸に迫る度合いがちがうはずだからさ。'My Eyes Adored You' であんなにぐっとくるとは思わなかったけど。そうそう、クリストファー・ウォーケンの演技も傑作だったねえ。




☆第2位
ウルフ・オブ・ウォールストリート

 『ジャージー・ボーイズ』の出現まで、1月末から8ヶ月間も首位を独走。そういや、開巻劈頭スクリーンの向こうから話しかけてきたのはこちらも同様(第4の壁を破るってやつ)。いやはやすっかり圧倒されたし、にやにやとくすくすが止まらないし。だってカウンタックのくだりとか、クルーザーの遭難とか、もうねぇ……。毎度ながらハリウッドにおける薬理作用の描写力には脱帽。観終えてすぐに「クエイルード」とネット検索したのはいうまでもなし。本物ジョーダン・ベルフォートのホーム・ヴィデオもね。既存の曲づかいもまさしく面目躍如で、マーティン・スコセッシ監督にはこの怒涛の路線を温存してもらいたいよ。




☆第3位
グランド・ブダペスト・ホテル

 微にいり細にいるウェス・アンダースン美学の視覚的悦びに、めまぐるしい活劇要素が増量されて、ただでさえばつぐんにオモシロい。そのうえで、モチーフとなったシュテファン・ツヴァイクおよびその著作の予備知識をふまえると、とても他人ごとじゃなく響いてくる。一見おとぎ話のごとく作りこまれた、スタンダード・サイズの箱庭的舞台。そこで起こる不穏なエピソードが、破廉恥な現政権下で暮らすこの身にこれほどぞくぞく迫るとは……。現実社会の危機感と直結するこの種の感動は、アンダースン監督作では初めてかな。むろん、シネマスコープで描かれる1968年閑散期の寂れたホテルのたたずまいは、いまだ最愛の『ライフ・アクアティック』(2004年)から脈々と流れる不変の持ち味。「あそこに長期滞在したら、どんなふうに過ごそうか……」なんて、うっとり浸っちゃうもんなあ。前作『ムーンライズ・キングダム』( 2013年の第5位)につづき、エンド・クレジットの粋な計らいもうれしいね。




☆第4位
はなしかわって

 梅雨入り直前に引越しをしたことが大きく作用して、59分の中編にもかかわらず上位入り。2年間つづいた横浜郊外暮らしにどうにも馴染めず、再上京を決意した晩冬のタイミングでやけにしっくりきた、新宿ケイズシネマの特集上映 "Hal is Back! Hartley" の1本だ。人助け中年男が大都会を駆けまわる姿が、スカッと胸をすいちゃってさ。バンド演奏シーンを始めすべてが好みってわけじゃないのに、映画ぜんたいから伝わる都会暮らしのわさわさ感と、ハル・ハートリー監督作品特有のすっきり清澄な空気感が妙に心地よくってさ。




☆第5位
フランシス・ハ

 『はなしかわって』と同じく、主な舞台はニューヨーク。主人公フランシスは転居を重ねるし、'Undateable.' って台詞は身につまされるし(笑)……即お気にいりになりそうなものを、最初に観たときはさりげなく目の前を通りすぎちゃったんだよね。でもそのさりげなさゆえに、不思議とくり返し観たくなってさ。年の瀬の3回めで、いきなりトップ10圏外から急上昇(それによりリチャード・リンクレイター監督『6才のボクが、大人になるまで。』が落選)。快活でチャーミングで、フランスかぶれもけっして嫌味にならず、じつによく練りあげられた愛すべきモノクローム作品なんだな。
 こないだアンドレアス・ドラウ来日公演会場のDJで呼んでもらったとき、デイヴィッド・ボウイ 'Modern Love' で始めたのは、あのシーンの余韻でつい……。と同時に、'Modern Love' でサックスを吹いているのが、故フィリップ・シーモア・ホフマンにヘロインを売っていたといわれるロバート・アーロンだったりして、2014年はあの曲に新たな印象が加わったという意味あいもあってさ。




☆第6位
her/世界でひとつの彼女

 まずは、ぜんたい的な色彩やディテイルといった見ためのすばらしさ。初夏に1回めを観た直後、中目黒チリタ店主のふぁっくちゃんに最近のお気にいりを訊かれ、これと『グランド・ブダペスト・ホテル』を挙げたら、「どっちもおしゃれ映画じゃん!」っていわれちゃった(笑)。でも実際のところ、スパイク・ジョーンズとウェス・アンダースンの両監督(奇しくも同い年)は、円熟の境地に差しかかったと思うよ。
 iPhoneを使い始めたのはたしか2009年の梅雨どきで、ほぼ同時にツイッターのアカウントを作ってさ。まあその前に5年ばかりミクシィやマイスペイスもやっていて、SNSへの投稿が日常化していた時期がしばらくあった。当初はサーヴィスを利用したつもりが、しだいに惰性に流されている感覚に囚われ、自分がなにをやっているのかわからなくなったりしてさ(笑)。こないだはフェイスブックもやめたし、ここ2年ほどは意識的に距離をおき、メディアとのつきあいを最適化しているところ。そこにあのテーマだもん。おなじみ粉川哲夫氏のサイト記事には、「先端テクノロジーに乗り切れない者たちの挽歌」とまんま思い当たるフレーズあり。むろん、淡い夜明けの屋上ラスト・シーンの安堵感ったらなかったよ。




☆第7位
インターステラー

 自分の目がすっかりCG映像に慣れっこだと痛感したな。だって、宇宙船模型のあの質感。もうたまんなかった。クリストファー・ノーラン監督のフィルム撮影へのこだわりが吉と出たねえ。話の筋が通らなかったり、おかしなところも多々あれど、未知への道中の光景と興奮で帳消しにできちゃうところは『プロメテウス』(2012年チャート第5位)にちょっと近い。SFじたてのメロドラマを貫く不屈の開拓精神にも、素直にぐっときたよ。




☆第8位
アデル、ブルーは熱い色

 社会階層のちがう若い女性カップルの恋愛の顛末を描き大評判となった、フランス製コミック原作の実写もの。やたらと顔のアップが多いし、息づかいなど音声も生々しく、迫力ある描写に3時間ぐいぐいと惹きつけられたねえ。きくところによると、アブデラティフ・ケシシュ監督は非情なまでに役者を追いこむ演出をするそう。主人公アデルの真に迫った泣きっぷりには、自分の過去の苦いあれこれまでがフラッシュバック。観賞後の疲労度も含め、気軽に触れるとやけどしそうな異色の体感型恋愛映画だった。ちなみに生牡蠣いらずの偏食者としては、ミートソースのスパゲッティならいつだって大歓迎だ。




☆第9位
イコライザー

 2013年第3位の『フライト』につづき、今年もデンゼル主演作が入った。なにより、ちょいホッパー画『ナイトホークス』っぽくもある、寂寞とした深夜ダイナーの孤独感ね。近所にあったら通っちゃうもんなぁ。あの場のムードに気持ちをつかまれたまま、話はぐいぐいエスカレイトして、仏頂面でそこまでやっちゃうかい?!……という、極度の潔癖症と相まったあまりに徹底的な必殺仕事人ぶり。すでに続編の企画ありというのも納得だ。不穏にして痛快無比な、我らが中年ヒーローの誕生だゾ。




☆第10位
ザ・ゲスト

 階下にゲームセンターが入った雑居ビルの劇場。平日水曜の午後4時台上映の回。選んだ映画は、古き佳きジャンル映画の定型にほどよくひねりをきかせた、B級乗りのアクション・スリラー……3つそろった条件反射で、高校生のころ(スプラッター好きだった)の放課後に思わずタイム・スリップしちゃったよ。おまけに劇中音楽は、あきらかに『ドライヴ』(2012年の第3位だ)以降をふまえた80年代リヴァイヴァル仕様で、この曲目。古くはゴス/インダストリアル寄りのニュー・ウェイヴ裏名曲、新しくはコズミック指向のインディ系音源がずらり。音楽担当者は誰かと思えば、ピッツバーグ拠点ゾンビの片われスティーヴ・ムーアだもの。アダム・ウィンガード監督と脚本家サイモン・バレットが組んだ前作『サプライズ』(2013年)での ドワイト・トゥイリー・バンド 'Looking For Magic' に当たる鍵の1曲は、アニーの 'Antonio - Berlin Breakdown Version'。2009年の12インチB面にひっそりと収められた儚く甘ずっぱい隠れ名ヴァージョンが、クライマックスの舞台となる準備中のハロウィン・パーティ会場に鳴り響いちゃう。初冬の夕暮れどき、全身をなんかこう懐かし~ぃ空気に包まれたまま、サンシャイン60通りの雑踏にまぎれたわけさ。帰宅後、すかさずサントラ・アルバム(音盤未発売、残念……)を入手したのはいうまでもない。





 つづいて“旧作再上映/初上映”のトップ5!……と威勢よくいきたいところだが、2014年に観た189本のうち昔の映画はわずか46本。1本単位で絞るのが難しかったので、特集上映を中心とする5選でお茶を濁すとしよう。

☆第1位
イエジー・スコリモフスキ 「亡命」作家43年の軌跡

 映画通諸氏の必須科目にうとい平凡な映画ファンとしては、こういう監督特集がじつにありがたい。連動して参考資料となるムックも刊行とくれば、またまたboidに足を向けて眠れない。製作時期に43年もの幅がある5本いずれも初体験。なかでも、怪しさ極まりない奇譚『シャウト』(1978年)と、出稼ぎ労働者の悲喜劇『ムーンライティング』(1982年)の2本にはやられたね。ロンドン市街でロケをした後者では、たまたま映った背景にオレンジ・ジュースのデビュー・アルバム "You Can't Hide Your Love Forever" の発売告知ポスターが!……見逃さなかったご同輩も多いはず。初期作『出発』(1965年)のオースティンがまっぷたつに割れる名場面も忘れられなくて、まあけっきょくぜんぶよかった。冷戦下のポーランドから亡命をへて帰国という、監督の一連の流れもつかめる貴重な番組だった。




☆第2位
Hal is Back! Hartley

 EBTGの 'The Only Living Boy In New York' と 'Walking Wounded' のヴィデオも撮っているし、自分と無関係ではないと知りながら、「ニューヨークの気どったインディ作家でしょ」なんて敬遠していたもんなあ……。4本すべてがオモシロかった。空間の切りとりかたがなんとも快く、初めてなのになんだか懐かしかったよ。ちなみに、2011年3月11日の地震のときは新宿ケイズシネマにいたから、ここの客席に座るといつもちょっとだけ緊張するんだな。




☆第3位
ジャック・タチ映画祭

 やはり規格外の粋人にして奇人だと思う。とにかく芸が細かいんだ。おそろしいほどギャグのタイミングを外さない。『プレイタイム』(1967年)の徹底ぶりなんて、そりゃあ大借金を抱えちゃうでしょうともよ。逆に好き勝手まではいかなかったらしい『トラフィック』(1971年)の、張り詰めていない感じがまたいいんだ。でもでもやっぱり、『ぼくの伯父さんの休暇』(1953年)だね。あのテーマ曲の調べには、いつ聴いてもたまらない気持ちになる。チラシ裏の番組表を見まちがえ、『乱暴者』(1934年)と『パラード』(1974年)2本だてをダブって観たのはおっちょこちょい。1回めにちょっと居眠りしたから、結果オーライだけどさ。愛娘ソフィが撮った短編『家族の味見』(1976年)なんていうひろいものまである13本。強力な特集だ。




☆第4位
五社英雄映画祭

 これもムックと連動しての監督特集上映。ごぞんじ春日太一氏(真夏のラジオ出演最高だった)の労作『五社英雄 極彩色のエンターテイナー』をきっかけに、これまた長年のあいだ「なんだかくどそう……」と勝手に苦手と決めこんでいた五社作品を、ちょっとかじってみたわけさ。まずは、池袋新文芸坐のロビーに飾られた友近からの花(笑)。10日間で全20本のうち、わずか3日ぶんの6本しか観なかったけれど、かつての先入観はいっきにプラスへと転化。初日の仲代達矢氏、翌週の岩下志麻氏のトークショウ観覧記念もあり第4位だ。岩下さんもメナードの怖いひととか思っていたけど、2013年に勝新映画『迷走地図』(1983年)を観て以来、なんか好きなのだ。




☆第5位
シナのルーレット(1976年)

 その内容もさることながら、これを観た8月某日は朝までモアでしこたま飲んだから、夕刻に猛烈な眠気および全身の不快感と闘いながらのシュールな観賞が忘れがたい……。所有するライナー・ヴェルナー・ファスビンダー箱は第3集どまりだし、第5集に入っているこの名作はぜひスクリーンで拝みたくてさ。なんたって変な汗をかきながら大音量で浴びる挿入歌、クラフトヴェルクの 'Radioactivity' でしょ(笑)。次の機会にはちゃんとしよう。





2015年1月2日金曜日

2014年に劇場で観た映画

 去年のお正月、小西康陽さんの仰天ブログ記事『映画メモ・2013年』に倣って『2013年に劇場で観た映画』を投稿した。2014年のぶんも、できるかぎりYouTubeまたはDailymotionの予告編リンクつきで挙げてみよう。洋画の新作が多めの計189本。近日中に発表するお気にいり映画年間チャートの候補作一覧でもあるよ。



 ☆1月(16本)
大脱出 @TOHOシネマズ渋谷
さよならアドルフ @シネスイッチ銀座
ドラッグ・ウォー 毒戦 @新宿シネマカリテ
キリングゲーム @新宿バルト9
ソウルガールズ @ヒューマントラストシネマ渋谷
アンビリーバブル・トゥルース @新宿K's Cinema
シンプルメン @新宿K's Cinema
MUD-マッド- @ヒューマントラストシネマ渋谷
ポール・ヴァーホーヴェン/トリック @ヒューマントラストシネマ渋谷
エレニの帰郷 @新宿バルト9
ROOM237 @渋谷シネクイント
ビフォア・ミッドナイト @ヒューマントラストシネマ有楽町
オンリー・ゴッド @ヒューマントラストシネマ渋谷
名探偵ゴッド・アイ @シネマート六本木
なんちゃって家族 @シネマート新宿
ウルフ・オブ・ウォールストリート @新宿ピカデリー


☆2月(17本)
アメリカン・ハッスル @新宿武蔵野館
はなしかわって @新宿K's Cinema
愛・アマチュア @新宿K's Cinema
マイティ・ソー/ダーク・ワールド 3D @TOHOシネマズ渋谷
ザ・イースト @新宿シネマカリテ
ラッシュ/プライドと友情 @新宿ピカデリー
新しき世界 @シネマート新宿
スノーピアサー @角川シネマ有楽町
アイム・ソー・エキサイテッド! @ヒューマントラストシネマ有楽町
チェインド @ヒューマントラストシネマ渋谷
エージェント:ライアン @横浜ムービル
17歳 @新宿ピカデリー
ダラス・バイヤーズクラブ @新宿シネマカリテ
大統領の執事の涙 @新宿ピカデリー
パラダイス:愛 @渋谷ユーロスペース
エヴァの告白 @TOHOシネマズららぽーと横浜
キック・アス/ジャスティス・フォーエバー @TOHOシネマズららぽーと横浜


☆3月(21本)
パラダイス:神 @渋谷ユーロスペース
コーヒーをめぐる冒険 @シアター・イメージフォーラム
マチェーテ・キルズ @ヒューマントラストシネマ渋谷
土人@男木島 @ミヅマアートギャラリー
パラダイス:希望 @渋谷ユーロスペース
ホビット 竜に奪われた王国 3D @TOHOシネマズ渋谷
あ、春 @早稲田松竹
魚影の群れ @早稲田松竹
愛の渦 @テアトル新宿
ネブラスカ~ふたつの心をつなぐ旅 @新宿武蔵野館
ダリオ・アルジェントのドラキュラ @渋谷シネパレス
ロボコップ @イオンシネマみなとみらい
ランナウェイ・ブルース @シネマート新宿
マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン @シアター・イメージフォーラム
ドン・ジョン @シネマライズ渋谷
LIFE! @横浜ムービル
あなたを抱きしめる日まで @新宿ピカデリー
エロス+虐殺 @ラピュタ阿佐ヶ谷
GET ACTION!! @新宿シネマカリテ
それでも夜は明ける @TOHOシネマズ渋谷
ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中 @新宿ピカデリー


☆4月(20本)
ウォルト・ディズニーの約束 @新宿武蔵野館
ローン・サバイバー @新宿ミラノ1
鉄砲玉の美学 @ラピュタ阿佐ヶ谷
リベンジ・マッチ @横浜ブルク13
アデル、ブルーは熱い色 @新宿バルト9
ブライアン・ウィルソン ソングライター 〜ザ・ビーチ・ボーイズの光と影〜 @シネマート六本木
セインツ ー約束の果てー @シネマート新宿
乱暴者を求む @シアター・イメージフォーラム
パラード @シアター・イメージフォーラム
陽気な日曜日 @シアター・イメージフォーラム
トラフィック @シアター・イメージフォーラム
ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! @渋谷シネクイント
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー @イオンシネマみなとみらい
家族の味見 @シアター・イメージフォーラム
ぼくの伯父さん @シアター・イメージフォーラム
プレイタイム @シアター・イメージフォーラム
アクト・オブ・キリング @シアター・イメージフォーラム
左側に気をつけろ @シアター・イメージフォーラム
ぼくの伯父さんの授業 @シアター・イメージフォーラム
ぼくの伯父さんの休暇 @シアター・イメージフォーラム


☆5月(7本)
アメイジング・スパイダーマン2 @横浜ムービル
乱暴者を求む(2回め) @シアター・イメージフォーラム
パラード(2回め) @シアター・イメージフォーラム
ダーク・スター @吉祥寺バウスシアター
ブルージャスミン @TOHOシネマズららぽーと横浜
プリズナーズ @渋谷シネパレス
ポーラX(爆音上映) @吉祥寺バウスシアター


☆6月(12本)
マンデラ 自由への長い道 @渋谷東映
X-MEN: フューチャー&パスト @TOHOシネマズ渋谷
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 @新宿武蔵野館
グランド・ブダペスト・ホテル @新宿シネマカリテ
闇のあとの光 @渋谷ユーロスペース
ホドロフスキーのDUNE @新宿シネマカリテ
ハミングバード @横浜ブルク13
フォルツァ・バスティア '78/祝祭の島 @シアター・イメージフォーラム
郵便配達の学校 @シアター・イメージフォーラム
のんき大将 脱線の巻(完全版) @シアター・イメージフォーラム
トランセンデンス @新宿ピカデリー
her/世界でひとつの彼女 @新宿ピカデリー


☆7月(15本)
オールド・ボーイ @新宿バルト9
オール・ユー・ニード・イズ・キル 3D @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
消えた画 クメール・ルージュの真実 @渋谷ユーロスペース
黄金のメロディ マッスル・ショールズ @新宿シネマカリテ
リアリティのダンス @新宿シネマカリテ
複製された男 @新宿シネマカリテ
女番長ブルース 牝蜂の逆襲 @池袋新文芸坐
まむしの兄弟 恐喝三億円 @池袋新文芸坐
マイ・ブラザー 哀しみの銃弾 @渋谷シネパレス
コータローまかりとおる! @池袋新文芸坐
伊賀野カバ丸 @池袋新文芸坐
GODZILLA ゴジラ @新宿バルト9
トラック野郎 一番星北へ帰る @池袋新文芸坐
パンツの穴 @池袋新文芸坐
そこのみにて光輝く @下高井戸シネマ


☆8月(16本)
友よ、さらばと言おう @新宿武蔵野館
VHSテープを巻き戻せ! @渋谷アップリンク
バトルフロント @ヒューマントラストシネマ渋谷
シナのルーレット @オーディトリウム渋谷
ウィズネイルと僕 @新橋文化劇場
365日のシンプルライフ @オーディトリウム渋谷
思い出のマーニー @シネマサンシャイン沼津
シャウト @シネマート新宿
ムーンライティング @シネマート新宿
リヴァイアサン @シアター・イメージフォーラム
出発 @シネマート新宿
エッセンシャル・キリング @シネマート新宿
プロミスト・ランド @新宿武蔵野館
この空の花 長岡花火物語 @目黒シネマ
野のなななのか @目黒シネマ
物語る私たち @渋谷ユーロスペース


☆9月(13本)
アンナと過ごした4日間 @シネマート新宿
テロ, ライヴ @ヒューマントラストシネマ渋谷
フライト・ゲーム @横浜ブルク13
チング 永遠の絆 @シネマート六本木
ブライアン・ウィルソン ソングライターPART2~孤独な男の話をしよう~ @シネマート六本木
イントゥ・ザ・ストーム @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2回め) @下高井戸シネマ
フランシス・ハ @渋谷ユーロスペース
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー @TOHOシネマズ渋谷
さまよう刃 @ヒューマントラストシネマ渋谷
悪魔は誰だ @ヒューマントラストシネマ渋谷
NO ノー @ヒューマントラストシネマ有楽町
猿の惑星:新世紀(ライジング) @TOHOシネマズ渋谷


☆10月(16本)
ジャージー・ボーイズ @ヒューマントラストシネマ渋谷
ジャージー・ボーイズ(2回め) @ヒューマントラストシネマ渋谷
レクイエム 最後の銃弾 @シネマート新宿
アンダー・ザ・スキン 種の捕食 @新宿バルト9
荒野の千鳥足 @新宿シネマカリテ
ニンフォマニアック Vol.1 @ヒューマントラストシネマ渋谷
FRANK -フランク- @ヒューマントラストシネマ渋谷
ミリオンダラー・アーム @新宿バルト9
スカム/SCUM @新宿シネマカリテ
フランシス・ハ(2回め) @ジョイランドシネマ沼津
やさしい人 @渋谷ユーロスペース
イコライザー @渋谷シネパレス
泣く男 @新宿バルト9
her/世界でひとつの彼女(2回め) @下高井戸シネマ
誰よりも狙われた男 @新宿武蔵野館
トム・アット・ザ・ファーム @新宿シネマカリテ


☆11月(21本)
ニンフォマニアック Vol.2 @ヒューマントラストシネマ渋谷
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション @渋谷シネパレス
サボタージュ @TOHOシネマズ六本木ヒルズ
新幹線大爆破 @ラピュタ阿佐ヶ谷
カムバック! @渋谷シネクイント
ザ・ゲスト @シネマサンシャイン池袋
ジャージー・ボーイズ(3回め) @横浜ブルク13
ショート・ターム @ヒューマントラストシネマ渋谷
デビルズ・ノット @新宿シネマカリテ
6才のボクが、大人になるまで。 @新宿武蔵野館
インターステラー @新宿ピカデリー
チョコレートドーナツ @下高井戸シネマ
白夜のタンゴ @渋谷ユーロスペース
ザ・レイド GOKUDO @渋谷TOEI
刺さった男 @ヒューマントラストシネマ渋谷
インターステラー(2回め) @TOHOシネマズ渋谷
スガラムルディの魔女 @ヒューマントラストシネマ渋谷
ジゴロ・イン・ニューヨーク @下高井戸シネマ
御用金 @池袋新文芸坐
鬼龍院花子の生涯 @池袋新文芸坐
フューリー @TOHOシネマズ渋谷


☆12月(15本)
闇の狩人 @池袋新文芸坐
雲霧仁左衛門 @池袋新文芸坐
ストックホルムでワルツを @新宿武蔵野館
北の螢 @池袋新文芸坐
極道の妻たち @池袋新文芸坐
紙の月 @シネマサンシャイン沼津
ゴーン・ガール @TOHOシネマズ渋谷
馬々と人間たち @シアター・イメージフォーラム
オオカミは嘘をつく @ヒューマントラストシネマ有楽町
ホビット 決戦のゆくえ @新宿バルト9
メビウス @新宿シネマカリテ
フランシス・ハ(3回め) @下高井戸シネマ
愛犬とごちそう @新宿ピカデリー
ベイマックス @新宿ピカデリー
マップ・トゥ・ザ・スターズ @新宿武蔵野館



2015年1月1日木曜日

BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 2

 2014年お気にいり盤トップ30の後編、パート2だよ。
 パート1はこちら→ BABY RECORDS 2014 FAVES TOP 30 - Part 1


 THE PAINS OF BEING PURE AT HEART / Days Of Abandon (LP)

 かつてあまりに青くさいバンド名に腰がひけて以来、敬遠していたのを反省。気まぐれでジャケに惹かれて試してみりゃ、すぐれて正統派の英国風アコースティック・ギター・バンドで、いわばOBのおいちゃんも愛聴し始めたしだい。なかでも 'Masokissed' は懐かしいよな恥ずかしいよな珠玉の1曲で、いまやミンクスの 'Funeral Song'(2010年)と並ぶ、2010年代クラシックスの仲間いりを果たしたわけさ。




PHISH / Fuego (CD)

 さほど熱心なファン(Phan)というわけじゃないけれど、20年来のお気にいりバンドにはちがいなし。CD発売前にYouTube公開された 'Waiting All Night' が、小春日和にぴったしなんてもんじゃない最高のゆるレゲエで、タワーレコード渋谷店5階の試聴機に並ぶやいなや即入手。ジャケのオレンジ色によく似合う、奇をてらわず大らかで温かな南部録音。それでいてあくまで中道な耳心地は、やはりボブ・エズリンのバランス感覚かな。そうそう、ラス・ヴェガスのハロウィーン・ショウのインターネット生中継は、ちょっとのつもりが目を離せなくなり、その晩のDJ用レコード選びにしわ寄せが……。むちゃくちゃ焦る非常事態となった。




PHOTAY / Photay (12 inch)

 例年はフォーマットぜんたいでぐっとくる度合いが高いものを優先したが、2014年は1曲だけ突出して他はまずまずといった場合も年間チャートの対象と、自由度をあげてみた。これもそんな1枚。ソウル心やファンク心、はたまたAOR心をダブステップ周辺にも求める昨年までのモードが収束に向うなか、唯一といってよいほどぐっときたのが、ニューヨーク州ウッドストックの若者フォーテイの 'Reconstruct feat. SEAFLOOR'(もじゃもじゃ頭ジャケの6曲入り12インチより)。折り重なるむにょむにょシンセに裏声歌唱、そして終盤のトランペット・ソロで決まり。この他にピンポイントで聴きまくった12インチEP曲では、クリスチャン・リッチ "SS14" 収録の 'Real Love feat. ANGELA McCLUSKY' も、ブラコン心をくすぐる熱帯夜向きスロウ・ジャムで忘れがたし。




ARIEL PINK / Pom Pom (CD)

 R・スティーヴィ・ムーアに薫陶をうけていたと思ったら、今度は病床のキム・フォウリー御大との共作曲で幕開けとは……これぞ宅録アウトサイダーの心意気。ひたすら小憎らしくもあらがえぬ魔力に満ちた、真性カリフォルニアン・ポップ変異体。あるいは、バブルガム・サイケデリアの精髄なのだ。猫の目のごとき多彩な全17曲を貫く、シド・バレット的なピーター・パン感覚こそが鍵だね。
  バレットといえば、フォロワー英国代表ロビン・ヒッチコックの新作 "The Man Upstairs" も、ザ・サイケデリック・ファーズ 'The Ghost In You' やロクシー・ミュージック 'To Turn You On' のカヴァー選曲だけでひいきにしちゃう、清冽なSSW皿(うれしいLP+CD仕様)だった。




PRINCE / Art Official Age (CD / 2LP)

 インターネット配信シングル 'Breakfast Can Wait'(2013年チャート入り)には復調感ひしひしだったけど、それどころじゃない絶好調期に突入でしょ。あらためてディスコグラフィを眺めても、ここまで充実度を覚えたのは "The Rainbow Children"(2001年)以来って気がするし。どあたまのEDMっぽさすら、ずれた悪乗りには映らず、余裕のウォーミング・アップに感じちゃう。第5曲 'U Know' でミラ・J嬢の 'Blinded' (収録の無料ミックステープ "Westside" もなかなかだ) を全面サンプリングしたのは、殿下のいつものラヴコールとみた。




PRINCE & THIRDEYEGIRL / Plectrumelectrum (CD / LP)

 でまあ、その好調っては、やはりサードアイガールとギグを重ねた充足感に負うにちがいなく。なんだか若がえっているし楽しそうだし、ちょっとうらやましいほどの現状がそっくりそのままアルバム化された、同時発売のこちらも爽快。文句なし。2枚で 'Funknroll' の聴きくらべができるのも愉し。
  バンドと連名の大物盤といえば、CD入手したてのディアンジェロ&ザ・ヴァンガード "Black Messiah"。「もしや滑り込みチャート入りか?」と思いきや、綻びなき模範解答を示されたようで、素直に喜べなくってさ。とっくに切らした痺れの血行を巡らせるまでに至らず。




ANGELIQUE SABRINA / Right Now (AAC)

 こりゃまた第2位のニッキ・ジーンとほぼ同じパターン。曲単位でダウンロード(こちらは購入)した女性R&B歌手のスロウ・ジャム、しかも暑い盛りにサウンドトラック化したワン・ヒット・ワンダーという点も共通する。ただし昼夜問わずのニッキと異なり、夕暮れどきからひっそりと効力を発揮してくれた、バハマはナッソー生まれのアンジェリークちゃん。故アリーヤばりに若年デビューした16歳で、このムードを醸しだすとはなかなか。半袖短パンの季節が恋しくなる、波の音入りサマー・クラシック・2014だ。




LAETITIA SADIER / Something Shines (LP)

 レティシアのソロ活動はとくに追っていなかったので、我ながら意外な最新第3作のトップ30入りだ。ただ、ラジオでひさびさにかかったステレオラブの 'Cybele's Reverie' (1996年) にえらく感心したという再評価の伏線あり。その流れで新曲 'Release From The Centre Of Your Heart' のヴィデオを観たら、お香のごときほのかな70年代ニュー・ソウル風味と、かつてレコード屋の店番で飽きるほど浴びたあの歌声のとり合わせが、ずいぶん新鮮でさ。90年代との距離感がほどよいということもあるし、ザ・ハイ・ラマズがそうであるように、時流に流されず深めてきたスタイルに説得力がある。随所にアイディアと技をちりばめた、快適ソフト・サイケデリアの秀作なり。




MOSES SAMNEY / Mid-City Island (WAV)

 お皿にならずお店にも売っていない、サウンドクラウド経由の無料ダウンロード音源がまたしても。弱冠24歳のLA在住フォーキー・ソウルマン、モーゼスくんの5曲入りEPだ。アコースティック・ギターの響きぐあいと、やわらかく伸びやかな美声の重なりには、日々の胸のつかえがほろほろとほぐれていくよう。Vimeoで観たライヴ映像のアフロな活気にも驚いていたら、どうやら家族でガーナに越していた時期があるそうな。この瑞々しき才能はぜひとも生で体感したい! 祈、来日。




MICHELLE SHAPROW / Earth One (CD)

 11月半ばの日曜夕刻、聴くでもなく流していたインターFMの『LHR ロンドン・ヒット・レイディオ』でかかった 'Lost In The Stars Again' にびっくり。渋谷のタワーレコード6階で見かけたジャケの印象では想いもよらなかった、エクレクティックかつエクセントリックなポップ職人ぶり。我が両目(老眼進行中)の節穴ぶりをまたしても思い知らされた、LAを拠点とする才色兼備SSWの第2作だ。宇宙船内ラジオ局から地球に向け発信するというコンセプト・アルバムじたては、実質上ムーンチャイルドと同着3位といえるほどのすばらしさ。至福かつ圧巻の60分間だよ。




失敗しない生き方 / 常夜灯 (CD)

 「♪やっぱーりねっ、そうっさ~」のフレーズはすっかり定番。ふとしたタイミングに鼻歌で出てくるんだよね(笑)。地元が三鷹ゆえにシティならぬ“ベッドタウンポップ”を標榜する、若き6人組のデビュー・アルバム。ときにチャーミングに弾み、ときにメロウに滲む、住宅街育ちの卓越した情景描写。そしてグッドタイム・ミュージック一歩手前で混沌に飛びこむアンファン・テリブルぶり。危うい演奏力すらもありのままの魅力へとつなげる感性も、クレヴァーで鋭い。生のステージを拝みたいのはやまやまだが、くたびれた中年がヤングのシーンに紛れこむのもどうかと躊躇し、いまだ果たせず……。




GERAINT WATKINS / Moustique (LP)

 出会いは、なんと1匹の蚊が自己紹介するイージーなボッサ曲 'Mosquito'。9月いっぱいで終わっちゃったインターFMの朝番組『バラカン・モーニング』で、春先に流れたのだ。前年の10インチ盤 "Mosquito Vol.2" にも入っているが、どうせならばと入手した2014年のフル・アルバム。いかにもパブ・ロック畑の裏方鍵盤奏者のリーダー作といった地味渋スタイルながら、意外や彩り豊かなポップ・マインドが愉し。ヘタうまな歌もご愛嬌。いわば“和みのブレイン・ドレイン”だね。




BEN WATT / Hendra (CD)

 EBTG期にリードで歌った名曲は多いし、2000年代にソロ名義で連発した12インチも忘れちゃいけないけれど、SSWのスタイルに回帰したフル・アルバムとくればねえ。31年をへたこのタイミングで続編をふっと差し出す自然な物腰が、ベン師匠らしくもあり。11月27日の渋谷クラブクアトロ公演がまたすばらしくてね。想い出の名曲はもちろんのこと、ここからのレパートリーの力感ある演奏ぶりに惚れなおしたよ。相棒バーナード・バトラー(さすがは元スウェードな優男)の確かなギターワークにも感服。




WE ARE DESTINO / Mind Force (12 inch)

 ダンスフロアの滞在時間と比例するように、機能的なハウス皿を欲する気持ちもめっきり減ってきた今日このごろ。ちょくちょくつまみ食いだけはしたなかで、大好物のラー・バンド心を満たしてくれたのが、カリフォルニア産甘口バレアリック・ブギーの新名曲。デーテ嬢のすっきり素直な歌声も、どこかRAHの嫁な面影あるでしょ。ブレナン・グリーン手がけたB面リミックス2種も上出来とはいえ、やはりA面のオリジナルおよびインスト版がきらりと光る。ウィ・アー・デスティーノこと西海岸 ディープ/ニュー・ディスコ界隈の鍵盤達人ダン・ハスティが、好調アダルト・コンテンポラリーから放ったスマッシュ・ヒットだ。




WHITE DENIM / A Place To Start - JAMIE LIDELL Remix (7 inch)

 未来派ソウルフルな "Jamie Lidell"(2013年トップ30入り)の記憶がまだ新しいというのに、ジェイミー狂としてはうれしいかぎり。2014年は客演仕事を中心に自慢の喉をふるわせてくれた。ジェッツとのミッドナイト・スター名曲カヴァーもさすがの一発だったが、リミックス版と銘打ちつつも実質的にはワイト・デニムのカヴァー・シングルという、レコード・ストア・デイ限定7インチが印象ぶかし。ちょいウルトラヴォックス 'Vienna' っぽいドラム・パターンがたまらない。
  レコード屋の日に合わせて出た7インチでは、シャルロットの 'Hey Joe'(映画、しょうもなかった……。第1部はまだ笑えたけどさ)や、ティム・バージェスの 'Oh Men'(共作にラムチョップのカート・ワグナー。サックスの響きがよし) も気がきいていたね。





☆ナイト・ジュエルの 'What Did He Say' やウォッシュト・アウトの 'Feel It All Around' 、あるいはデイム・ファンクの初シングルB面曲 'Galactic Fun' といった、2000年代末のエポックメイキングな名曲群の静かな衝撃から5年も経つというのに、我が趣味趣向に目立つ変化は訪れず、すっかり焼きが回ったと思うこともしばしば。ところがここにきて、ようやく次なる兆しをつかめてきたような……。今年こそはなにか自分にとっての重要な動きに期待している。2010年代半ばの新しいポピュラー音楽は、はっきりいってかなり好きだな。


 すでに順位は決めてある再発盤/発掘音源盤のトップ10と、新作映画のトップ10および旧作映画再上映/初上映のトップ5は、近日追って発表していくよ。


BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 1

 おやまあ、ぼやぼやしていたらすっかり年が明けてしまった……。遅ればせながら元日に発表する、お気にいり盤の年間トップ30(2014年版)だよ。
  例によってトップ3だけをきめて、あとはアルファベット順。タイトルうしろのカッコ内は所有しているフォーマット。それぞれに感想コメント、ジャケット(もしくはレーベル部分)写真をつけ、YouTubeやSoundCloudで聴けるものは貼っておいたゾ。
 ページが重くなるので記事をふたつに分けた前編、パート1から。ひまつぶしにでもどうぞ眺めてみて頂。 


☆第1位
KINDNESS / Otherness (LP+CD)

 つまりはセンスと才能ってことなんだろうけど、ごくシンプルな定番ぞろいのワードローブから、スタイリッシュに着こなす能力が桁はずれって気がするんだよ。'This Is Not About Us' のボブ・ジェイムズにしても、'With You' にふっと入ってくる 'Moments In Love' にしても……とうに使い古されているはずの素材を真正面から再利用して、これほどまでに精錬されたソウル・ミュージックを生みだしちゃうんだから。ゲスト陣を適材適所にしっくり配するプロデュース力も破格だし。うっとりするほどの洒脱さと血の通う作家性をより深遠に追求して、デビュー傑作 "World, You Need A Change Of Mind"(2012年トップ30入り)すら軽々と超えちゃった。
 


☆第2位
NIKKI JEAN / Summertime Girl (MP3)

 なんとサウンドクラウドの無料ダウンロード音源、しかもたった1曲ぶんが第2位に入っちゃった! これぞ2014年を代表するサマー・クラシック。とにかく昼夜を問わずふいに聴きたくなり、7月から9月にかけての毎日にどれだけくり返したことか……。エアコン冷房はつかわず扇風機2台でしのぐ、我が部屋の蒸し暑~い空気に、おそろしいほど一体化。瑞々しくもけだるく、気が遠くなるような、まさに夏そのもののイメージ。あまりの夏期限定仕様ゆえに、年始のいま聴いてもまるでぴんとこないほどなのだ。“あの”たまらない感覚を味わうには、来夏を待つか南半球を旅するぐらいしかないはず。ニッキ・ジーンの他の音源にはこれといったお気にいりもなく、個人的ワン・ヒット・ワンダーと呼べる永遠の夏名曲だ。
 サウンドクラウド経由の女性R&B。アルバム単位では、メイラット×ジャンスポート・Jの9曲入り "Move Me"(無料ダウンロード可)が粒ぞろいで愛聴中。惜しくもトップ30には入らず。




☆第3位
MOONCHILD / Please Rewind (CD)

 トーストをかじりながら毎朝チェックするサファリのブックマークのひとつ、bmrのサイト内ホットスポットの記事で発見。まだまだ底冷えのする3月下旬、すきま風吹きすさぶ中年男のハートをほんのりじんわりと温めてくれた、バンドキャンプ通販の自主制作CDだ。USCでジャズを専攻したという紅一点含む同窓生3人組のアルバム第2作。ヴィデオに映るルックスも、まだどこかあどけない令息令嬢っぽさ。いわゆるネオ・ソウルやグラスパー以降現行ジャズを志向しつつ、ずばりそのものというよりも、憧れで歩み寄っている……といった微妙な距離感が、むしろ稀有な魅力につながっているのだ。いっしょに注文した前作CD-R "Be Free"(2012年)も同路線。曲調のヴァリエイションはけっして豊富じゃないが、そのぶん統一されたやわらかなトーンが心地よく全身に浸透してくる。第2位 'Summertime Girl' が半袖の季節向きならば、こちらはふかふかのダウンジャケット、あるいはもっこもこのセーターにこそどハマりなのさ。




ここからはアルファベット順だよ。

DJ QUIK / The Midnight Life (CD)

 サウンドクラウドで先行公開された 'Life Jacket feat. SUGA FREE & DOM KENNEDY' と 'Pet Sematary' のジューシーなメロウネスにすっかりとろけて、街のCD店をあちこち回ったものの、見つからなくてインターネット海外通販。どうやら流通に難がありそなクイックの新作なり。前作 "The Book Of David" の抑えめ密室感にも痺れたが、夜景にくり出すこの開放感も申しぶんなし。とどめは、ラファエル・サディークの2009年来日公演(すでに懐かし)でも弾いた盟友ロブ・ベイコンによる、水蜜桃のごときギターをフィーチャーの 'Bacon's Groove feat. ROB "FONKSTA" BACON'。とっぽい輩がしのぎを削るG界においても、比類なき洒落っけと茶目っけ、そして天然のひねりぐあい。クイック印のファンク心は不滅なのさ。




BRYAN FERRY / Avonmore (LP+CD)

 前作 "Olympia"(2010年)からは12インチ各種、なかでもトッド・テリエレオ・ゼロタイム+スペイス・マシーンが競った 'Alphaville' のリミックス盤2種なんていうイカしたシングル・カットがありうれしかったが、アルバム本体から滲む年相応の老いには一抹のさみしさを覚えたものさ。ところがどうだ! 豪華ゲスト陣にナイル・ロジャース、マーカス・ミラー、ジョニー・マーらをひさびさ呼び寄せた最新盤は、狙いどおりに "Boys And Girls"(1985年)~ "Bête Noire"(1987年)あたりの艶やかさと軽みへと回帰。まるで黄昏どきを覆う闇に、きらびやかな幻のネオンがつぎつぎと灯り始めたかのよう。指紋がつきやすい光沢紙質のゲイトフォールド・スリーヴ、さらに同内容CDを封入という豪華仕様もお似合い。もし今野雄二氏がご存命ならどんな評文が読めたかな。
   

HOT16 / 1983 EP (12 inch)

 大学3年生のときに流行ったチャッキー・ブッカーのオリジナル版 'Turned Away'(1989年)が単純に好きなんだ。なのに '1983 EP' とはこれいかに? 「まあ硬いこといわずに……」とリヴァイヴァル世代の抱くほんわか淡いイメージにつきあってみたら、なんだか居心地よくって春の定番化。オレゴン州ポートランドのブギーファンク寄り眼鏡青年プロデューサー、ダン・キントが、地元のみならず遥かアムステルダムからお気にいりMCを招いての6曲入り12インチ。




THE INTERNET / Feel Good (CD)

 ネット配信は大幅に先行なれど、ジャケちがいCD版は年をまたいだ2014年発売というわけでチャート入り(前作と同じこのパターン、歯がゆし)。人気実力ともに安定するOFWGTA一派でも、やはりマット・マーシャンズのプロダクションは裏切らず。そしてひたすら甘くとろけながらも、すっきりしなやかに一本芯が通るシドの歌心の不思議。2年前のデビュー傑作 "Purple Naked Ladies" に勝るとも劣らぬ、洒脱でメロウでボッサな夢見心地盤だ。
 サウンドクラウドから無料ダウンロードできる約34分コンパクトな夏向きDJミックス "Hypetrak Mix: THE INTERNET - Summer" も、ふたりのカジュアルな趣味のよさをゆるり快適に楽しめたゾ。




MICHAEL JACKSON / Xscape (LP)

 とにかく 'Love Never Felt So Good' にはぐっときまくった。あのデモ録音オリジナル版(指パッチン、手拍子&ポール・アンカのピアノのみの伴奏)から、よくぞふくらませたものだよ。かつてジョニー・マティスがひろいあげ吹き込んだ1984年AOR版も手がたいとはいえ、これほど心は震えないもの。ジョン・マクレイン 、ジョルジオ・タインフォート、フランク・ファン・デア・ハイデンの職人技、凄い。けっきょく手が伸びなかった "Michael"(2010年)と異なり、アルバムぜんたいの制作姿勢が的確だ。




KIMBRA / The Golden Echo (2LP)

 インターFM、あるいはAFNだったか……ある秋の日、ラジオで流れた気になる曲をiOS用音楽検索ソフトのシャザームで調べたら、キンブラの '90s Music' と出た。そしてべつの日、同様に検索した結果がやはりキンブラの 'MIracle' でさ。こりゃアルバムを聴かなくちゃということで、新宿ユニオンの6階で2枚組のLPを購入。2013年のジャネル・モネイ "The Electric Lady" にひきつづき、メインストリームをあなどっちゃいかんと思い知らされる、大充実ポップ・エンタテインメント作だよ。アルバムのそこかしこにちらりと表れるプリンス的意匠もまた愉し。
 ビルボード・ホット100的なポップ・ソングから2014年のトップ3を選ぶとするならば、MJの 'Love Never Felt So Good'、キンブラの 'Miracle'、テイラー・スウィフト 'Shake It Off' で決まり。そういえば 'Shake It Off' を最初に聴いたとき、「トニー・ベイジル 'Micky'ファレル 'Happy'ボブ・シーガー 'Shakedown'(サビ部)が合体した曲か!」なんて、おいちゃん感心しちゃったもんな。




KIRINJI / 11 (CD+DVD)

 好きな曲はあるし敬意こそ抱いていたが、兄弟デュオ時代の片仮名キリンジのファンとはけっしていえなかった。なのになのに、再出航 第1弾の横文字KIRINJIの軽やかさに、すっかりやられてしまったわけさ。引っ越して間もない時期に先行公開ヴィデオを観た「進水式」(猪俣のユキちゃん出ているね)の曲テーマが、なんとなく心情に合ったのはたしかだけどさ。手練ぞろいとはいえども、いきなり6人組のバンドとして魅力的なんだよね。「雲呑ガール」~「Fugitive」~「Onna Darake!」の流れなんて、ほんと最高だもの。この3曲は鼻歌登場率もひじょうに高い。「Onna Darake!」は、よく聴くTBSラジオ『ジェーン・スー 相談は踊る』テーマ曲の(おそらく)発展形だしさ(どっちが先かな?)。




LILACS & CHAMPAGNE / Midnight Features Vol.1: Shower Scene (12 inch)

 過去2枚のアルバム(第1作は2012年チャート入り)に輪をかけて、映像喚起力をたくましくさせるメキシカン・サマー名物デュオ(グレイルズのメンバーでもある)の6曲入り。とうとう題名で時間帯とシーンまで設定してきたからね。オフィシャル・ヴィデオのブラウン管&VHS風情にも感電させられた、わずか2分半足らずのタイトル曲が最高。これをBGMにシャワーを浴びるためだけに、どこかのひなびた洋式ホテルにチェック・インする衝動にかられちゃう。ぜひ実行したい。




THEOPHILUS LONDON / Lovers Holiday Ⅱ (MP3)

 どうやらヤングのファッション・リーダー的存在らしきセオフォラスくん。「数年前のリオン・ウィア真似ジャケのラッパーね」ぐらいしか認識なかった春先に、当のウィア御大を制作に迎え、フィーチャリングでブラッド・オレンジだけならまだしも、フォース・MDズまで参加のオヤG泣かせときたもんだ! そこで無料ダウンロードした6曲入りミックステープがこれ。件の絶品スロウ・ジャム 'Figure It Out feat. BLOOD ORANGE, THE FORCE MDs' ばかりをピンポイントでくり返したわけさ。のちに出たアルバム "Vibes" にも再収録されたものの、出たばかりのアナログLPは懐ぐあいにより未入手(1曲お目当てで欲ちいなぁ……)。
   

NAUTIC / Navy Blue (12 inch)

 2012年のベスト・シングルだった7インチ 'Fresh Eyes' につづく初の12インチは、これまた高温多湿な盛夏にうってつけの清涼レイド・バック感。汗びちゃのTシャツを着替えるタイミングなどに、ふと針を落としてほっとひと息ついたものさ。秋口に出たもう1枚、'Freedom Of The Floor' のリミックス12インチには、ウォマック&ウォマックの1988年大名曲 'MPB (MIssin' Persons Bureau)'好カヴァー版も入り、うだる残暑に快い風をふわりと届けてくれたんだわさ。
 


MY BUBBA / Goes Abroader (LP)

  寡聞にして知らなかったアイスランドとスウェーデン出身の女性カントリー・デュオ、マイ・ババ&ミーが名前をちょい短縮してのアルバム第2作(2010年にデビュー作 "How It's Done In Italy" が出ている)。バンジョーとダブル・ベースの弾き語りというフットワークの軽さもあって、欧米各地を飛びまわり、ついにはカリフォルニアでスタジオ入りした成果がこれなんだって。制作は、なるほどデヴェンドラ・バンハートも手がけるノア・ジョージスン。そういや11月に『白夜のタンゴ』(ヴィヴィアン・ブルーメンシェイン監督)なるフィンランドのタンゴのドキュメンタリー映画を観たけどさ、この北欧のカントリーにもどこか似たようなの~んびりした気風があって、やけに和んじゃうんだな。



ONCE & FUTURE BAND / Brain (12 inch EP)

 いつぞや、ネット・サーフィン(←カッコいい言葉)中にA面2曲めの 'Destroy Me' を一聴して、90年代半ばに初めてデイヴ・シンクレアがらみの名曲群('Wanderlust' とか 'O Caroline' とかさ)に触れたときみたく、なんとも儚げでせつない気分がこみあげたんだな。しっかり仕様の見開きジャケもそそる、カリフォルニアはオークランドを拠点とするサイケデリック・トリオの4曲入りデビュー・EP。もう1曲のスロウ・テンポ 'The Old Brain' だけじゃなく、変拍子をきめまくるスモーキーな2曲(ちょいイエス的)もじつにイカす。プログレッシヴでありながら、ポップな素養も豊富なようすで、メンバー出演YouTube動画の、24秒あたりから流れる謎の曲がこれまた気になる。いい顔ぞろいだし、生のステージも観てみたいね。
 


 ☆パート2(後編)→"BABY RECORDS 2014 FAVES TOP 30 - Part 2"につづく。