2015年1月10日土曜日

BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10 - Reissue and Unreleased

 2014年の年間チャートしめくくりは、汲めどもうれしい新発見は尽きぬ、お気にいり“再発盤&発掘音源盤”のトップ10だよ。

 新作音盤編↓
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 1
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 2  
 映画編↓
BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 10+5 - Films


☆第1位
TRACIE YOUNG / No Smoke Without Fire (CD)

 平均すると10日にいっぺんぐらいは、タワーレコード渋谷店の7階からエスカレイターで下りながら、試聴機を順々に巡るんだけどさ。とくに新しい再発CDの情報源として重要なんだな。後期レスポンド~ポリドール期(1985~86年)のシングル曲を含むトレイシーの未発表セカンド・アルバムも、梅雨どきに5階で見つけたっけ。もし当時に出ていたら彼女のキャリアはちがっていた……というたぐいではないかもしれないが、80年代中期ブルー・アイド・ソウルの柑橘系な瑞々しさが真空パックされて最高。溌剌としているんだよね。初アルバム "Far From The Hurting Kind"(1984年)がザ・スタイル・カウンシル "Introducing"(1983年)的とすれば、こちらはシングル版の 'The Lodgers'(1985年)あたりに近い質感かな。ブライアン・ロブスンや元ザ・クエスチョンズのポール・バリーが、ソリッド・ボンドな流儀を貫いているゾ。




☆第2位
NED DOHENY / Separate Oceans (2LP)

 例年どおり、ヌメロ・グループは強し。しかしこのパッケージ・デザイン、『アドリブ』誌的イメージのAOR 観とは隔世の感があるね。見開き内側のどーんとした迫力。ブックレットの写真群もすばらしい。もちろん未発表セッションやデモ音源は問答無用。通しで味わうアルバムとしての構成も完璧。"Hard Candy"(1976年)のLPが中古盤屋の投げ売り箱にざくざくあったころが、なんだか懐かしい(笑)。
 またビッグ・イン・ジャパンな人気にちなんだという、AWB伴奏版の 'What Cha' Gonna Do For Me' デモ入り先行限定7インチもうれしかった。変てこな日本語表記ジャケに、なんとなくハワード・ジョーンズ 'Like To Get To Know You Well'(1984年)を連想したりしてさ。




☆第3位
大滝詠一 / Each Time 30th Anniversary Edition (2CD)

 なんといっても「魔法の瞳(オリジナル・カラオケ)」でしょ。高校1年のLP発売時からずっと、きらめき&ひらめき満載の音じかけを歌なしで聴いてみたくてさ。30年来の願いがかなったよ。ヘッドフォンをかけ目を閉じたなら、ディズニー的トリップ感覚がふくらむふくらむ!……胸が苦しくなるほどの夢見心地だ。
 そういや、白夜書房から凄そうな『大瀧詠一 Writing & Talking』が出るね。3月20日は街の書店に走らねば。




 ここからはアルファベット順だよ。

ARAGON / Aragon (CD)

 比類なき陶然の和製バレアリック皿。ぼやぼやしていたら、急騰する中古LPに手が届かなくなっちゃってさ。海外レーベルが再発してもおかしくないと思ったところに、連動企画盤 "The Studio Works - Birth Of Aragon"(1985年)からのボーナス・トラックつきで、ようやく国内再CD化。東北新幹線 "Thru Traffic" に、テレサ野田「トロピカル・ラブ」……同じく中古市場で値が釣りあがっていた国内もののアナログ復刻もうれしかった。




BEDHEAD / 1992-1998 (4CD)

 ふたたびヌメロ・グループのすぐれたお仕事。うかつにも活動当時は素どおりしていた、テキサス州ダラス出身5人組のスタジオ音源を網羅するCD4枚箱だ。2012年の当部門第3位だったコーディーン "When I See The Sun" 大箱の流れで、ヌメロのインディ審美眼は信頼しているから、どうにも気になっちゃってさ。よくスロウコアにカテゴライズされるけれど、まっすぐ入ってくるこの淀みのない印象はいったい……。文字型押しの外箱および各アルバムのパッケージ同様、非凡なほどに飾りけがなく、妙に心惹かれるんだよねえ。寝ぐせ頭というバンド名が、じつに似つかわしい。




JAVIER BERGIA / Eclipse (LP)

 1988年盤 "La Alegria Del Coyote" のジャケットは、かつてどこかで見かけた記憶があるんだよねえ……。いずれにせよ初耳となるスペイン発30年選手SSWの名演集。アコースティックかつパーカッシヴなアンビエント指向で、不思議時空を現出する10曲入りだ。ウーやドゥンクルツィファー、エンジェル・コーパス・クリスティまで再発するロンドンの変わり種レーベル、エモーショナル・レスキューより。地中海性AORとしても聴けるヴォーカル曲をさらに堪能すべく、中古のオリジナル・アルバムもぜひ入手したいところ。




JOAN BIBILONI / El Sur (LP)

 ミュージック・フロム・メモリーなるアムステルダムの新レーベルもまた注目の的。夢幻的かつ叙情的な知られざる音源に狙いをすまし、端正なアートワークでリリースを重ねる。こちらも上述のハビエル・ベルギアと肩を並べるスペイン産。アンビエントもディスコも噛みわけ横断するギターの名手、ホアン・ビビローニの選りすぐり編集盤(10曲入り)なのさ。遅ればせながら手に入れた同レーベルの第1弾、リオン・ロウマン "Liquid Diamonds"(2013年)と併せて、いまやすっかりくつろぎの定番だ。




SHINY TWO SHINY / When The Rain Stops (LP)

 大好きなアンテナウィークエンドと比べるとこのリバプール産デュオはちょっと垢ぬけない気がして、'Waiting For Us'(1983年)の12インチもずいぶん昔に売っちゃったんだ。ところがいまとなっては、さほど落差を感じない……というか、むしろ新鮮。そんな誤解にコンピレイション盤で気づかせてくれた、ブルックリンのキャプチャード・トラックスに感謝。ちょっと調べてみたら、片われのロビンはのちに元ザ・ルームのメンバーとベニー・プロフェインを組んだって!?(笑)……と、B級な歩みに感心しつつ、アンテナ版にもけっして劣らぬ「イパネマの娘」カヴァーに、耳の穴をかっぽじっている今日このごろさ。




WOO / When The Past Arrives (LP)

 ナイト・ジュエルとのカップリング・7インチ(2012年)で1曲聴いたときは、これまたうっかり素どおりしちゃった、ロンドン発兄弟バンドのウー。埋もれた4トラック宅録テープ(1976年〜)に光を当てた14曲に耳を傾ければ、すっかり時と場所を見失いそうになる。その感覚は、たゆたう水面を眺めるがごとし。スノッブとは無縁の風雅な情趣に、ひたすら心洗われる思いなのだ。




VARIOUS ARTISTS / Science Fiction Park Bundesrepublik - German Home Recording Tape Music Of The 1980s (2LP)

 これ以上の適任者は思いつかない好企画でしょ。ちょいとばかし遅れてきたノイエ・ドイチェ・ヴェレの申し子フェリックス・クービンが、有名無名を問わぬ80年代地下シーンの宅録音源を、ここぞとばかりに25曲選りぬいた2枚組。だし惜しみも中だるみもいっさいなしの、おそるべき充実度だ。ピロレイターにホルガー・ヒラー、アンディ・ジョルビーノ、はたまたリエゾン・ダンジェルーズの前身CHBBといったおなじみの面々ばかりじゃない、謎めいた怪人たちによる小気味よくねじくれた初期衝動の記録。英語とドイツ語で各面印刷の見開きライナーノーツも文句なし。はみだし名門ファインダーズ・キーバーズ傘下のキャッシュ・キャッシュがやってくれたよ。
 NDWといえば、必携本『クラウトロック大全』を著した小柳カヲル氏のスエザン・スタジオ謹製アタ・タック箱も、第5集 "The Single Collection" にて完結。応募券を集めて当たる初CD化のデア・プラン "Das Fleisch"(1979年のデビュー・シングル)とともに、シリーズに有終の美を飾ったゾ。